「実家を相続したものの、特に困っていないから」と、空き家のまま数年が経っているご家庭は少なくありません。ただ、空き家を放置するほど静かに進んでいるリスクのひとつが、火災保険の”入りにくさ”です。人が住んでいない家は、火災や老朽化による被害のリスクが高いとみなされ、保険会社によっては加入自体を断られることがあります。この記事では、空き家の火災保険がなぜ入りにくくなるのか、保険に入れない・入らないまま放置するとどんな損害に直面するのか、そして今の実家をどう見直せばいいのかを、分かりやすく解説します。

うちの実家、もう3年くらい空き家のままなんですが…火災保険って、今からでも入れるものなんでしょうか?

実は、空き家は「入りにくい」「断られることもある」保険なんです。今日は、その理由と今からできる対策を一緒に見ていきましょう。
実家が「空き家」のままだと、火災保険に入りにくくなるのはなぜ?
火災保険は、人が住んでいる家を前提とした「住宅物件」と、それ以外を扱う「一般物件」に分かれています。空き家は人が住んでいないため、多くの保険会社で住宅物件として契約できず、一般物件として扱われることになります。一般物件は審査が厳しく保険料も高めに設定される傾向があり、保険会社によっては空き家そのものへの新規加入を断っているケースもあります。
断られやすい・条件が厳しくなりやすい理由としては、放火などの火災リスクが高いこと、人の目が入らないために老朽化や被害が広がりやすいこと、電気設備の老朽化による出火のおそれなどが挙げられます。審査の基準は保険会社ごとに異なり、建物の状態や立地によっても判断が変わります。なお、2024年10月1日以降の契約から多くの損害保険会社で火災保険料そのものの値上げが実施されており、空き家に限らず保険料の負担は年々重くなっている点も知っておきたいところです。

断られることもあるなんて知りませんでした…。うちはまだ契約自体は続いているんですが、それでも大丈夫なんでしょうか?

契約が続いていても注意が必要です。空き家になったことを保険会社に申告していないと、いざ事故が起きたときに補償を受けられないおそれがあります。空き家になったタイミングで、必ず保険会社に申告しておきましょう。
もし今の保険の状態に少しでも不安があるなら、まずは実家が今どのくらいの価格で売れそうか、価格帯だけでも確認してみるのも一つの方法です。
保険に入れない・入らないまま放置すると、どんなリスクがある?
もし火災保険に入っていない、あるいは補償の対象外になっていた場合、火災や災害で実家が損傷しても、修繕費や解体費はすべて自己負担となります。老朽化した一戸建てでは、この費用が数百万円単位になることも珍しくありません。また、一般物件として契約した空き家では、地震保険を付帯できないケースがある点にも注意が必要です。
さらに見落としやすいのが、近隣への延焼です。以前の記事「空き家が倒壊してお隣に被害が出たら?知らないと怖い所有者の損害賠償責任とは」でも解説したとおり、空き家の老朽化が原因でお隣に被害を与えた場合、所有者は民法717条に基づく損害賠償責任を問われる可能性があります。火災については「失火責任法」により、重大な過失がなければ原則として賠償責任は生じませんが、管理を著しく怠っていたと判断されれば、重過失として賠償責任を負うこともあります。

うちの実家、正直ここ1年くらい様子を見に行けていなくて…。それだけで「重過失」と言われてしまうこともあるんでしょうか?

一度様子を見に行けなかっただけで即座に重過失になるわけではありません。ただ、長期間まったく手入れをせず、傷みに気づける機会を放置していたと判断されやすい状況が続くと、リスクは高まります。
今の実家の保険、どう見直せばいい?
まず確認したいのは、保険会社に「空き家である」ことをきちんと申告しているかという点です。相続後に名義変更を忘れている場合、いざという時に保険金が下りないことがあります。詳しくは以前の記事「相続した実家の火災保険、名義変更を忘れていませんか?保険金が下りない落とし穴と売却前の注意点」でも解説していますので、あわせてご確認ください。
また、一般の火災保険に入りにくい場合でも、空き家を対象とした専用の保険商品を取り扱う保険会社もあります。合わせて、以前の記事「実家が”管理不全空き家”になるとどうなる?固定資産税が急に上がる前に確認したいこと」でも触れているとおり、定期的な巡回・清掃・修繕によって管理状態を良好に保つことは、保険の引受条件を有利にするだけでなく、行政からの勧告を避けることにもつながります。
今からできることを整理すると、次の3点になります。
- 保険会社への空き家の申告状況を確認する:相続や引っ越しで空き家になったタイミングで申告していない場合は、早めに保険会社へ連絡しましょう。
- 空き家専用の保険・地震保険の付帯可否を確認する:一般物件扱いになっていても、空き家向けの専用プランや特約が用意されている場合があります。
- 定期的な巡回・管理の体制を整える:自分で難しい場合は、管理サービスの利用や、売却・解体も含めて早めに今後の方針を検討しておくと安心です。

保険を見直すのも大事だけど、正直、遠方に住んでいるのでこまめな管理はなかなか難しくて…。

それはよくあるお悩みです。管理の負担そのものを減らすという意味でも、今の実家がどのくらいの価値を持っているかを一度知っておくと、今後の判断がしやすくなりますよ。
まとめ:火災保険に入れないほど劣化が進む前に、早めの判断を
空き家は、放置する期間が長くなるほど老朽化が進み、火災保険にも入りにくくなっていきます。保険に入れない・入らないまま被害が発生すれば、修繕費や解体費はすべて自己負担になるだけでなく、近隣への被害については損害賠償責任を問われるおそれもあります。まずは保険会社への空き家の申告状況を確認し、定期的な管理を続けられるかどうかを見極めることが大切です。管理の負担が大きいと感じたら、無理に抱え続けるのではなく、売却という選択肢も含めて、今の実家の価値を把握しておくことをおすすめします。遠方に住んでいて管理が難しい、保険の見直しだけでは不安が残る、という場合ほど、早めに今の実家の状況を整理しておくことが、将来の思わぬ出費やトラブルを防ぐ一番の近道になります。
※本記事の内容はSOMPOダイレクト「じぶんでえらべる火災保険」およびfinancial-field「空き家の火災保険は加入したほうがいいの?」(2026年時点の情報)を参考にしています。
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