実家を売ったら、買った時の値段がわからない…譲渡所得税が増える「取得費不明」の落とし穴とは?

取得費不明の落とし穴とは?売却の基礎知識・制度

実家を売ろうとしたら「買ったときの値段」を聞かれて困った、という方へ

相続した実家や、長年住んでいた一戸建てを売ろうとしたとき、不動産会社や税理士から「購入したときの売買契約書はありますか?」と聞かれて、返答に困ったことはありませんか。昭和や平成初期に買った家、あるいは祖父母の代から受け継いだ土地だと、当時の契約書や領収書がどこにあるのかわからない、というご家庭は少なくありません。実はこの「取得費」(しゅとくひ:その不動産を手に入れるためにかかった購入代金や仲介手数料などの費用)がはっきりしないまま売却すると、本来払わなくてよかったはずの税金まで多く支払うことになってしまう可能性があります。この記事では、取得費が不明なときに起こる落とし穴と、少しでも損を減らすための対処法を解説します。

実家、祖父が建てたものでいつ・いくらで買ったのか全然わからないんですが、売るときに何か困ることがありますか?

こだせんせい
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はい、取得費が証明できないと、譲渡所得税の金額が本来より高くなってしまう可能性があります。今日はそのしくみと対処法を一緒に確認していきましょう。

まずは今のご実家がどのくらいの価格で売れそうか、査定だけでも確認しておくと、税金の見積もりも立てやすくなります。

そもそも「取得費」と「譲渡所得税」の関係とは

一戸建てなどの不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」という税金がかかります。譲渡所得は、次のような式で計算されます。

譲渡所得 = 売却価格 -(取得費 + 譲渡費用)

ここでいう「取得費」とは、その不動産を購入したときの代金や仲介手数料、登記費用などの合計額のことです(建物部分は経年による減価分を差し引きます)。「譲渡費用」は、売るときにかかった仲介手数料などの費用です。所有期間が5年を超える「長期譲渡」の場合、譲渡所得に対しては合計20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税率がかかります。つまり、取得費として差し引ける金額が大きいほど税金の負担は小さくなり、逆に取得費が証明できず少なくしか認められないと、課税対象になる譲渡所得が実際より大きく計算され、税金も増えてしまうのです。

じゃあ、取得費が証明できないと、それだけ損することになるんですね…。

こだせんせい
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その可能性があります。次に、取得費が分からないときに実際どう扱われるのか、具体的に見ていきましょう。

取得費が「わからない」ときは売却価格の5%だけ?概算取得費のルール

国税庁は、先祖伝来の土地であることや購入時期が古いことなどを理由に取得費がわからない場合、売却価格(収入金額)の5%相当額を取得費とみなせるという取り扱いを認めています(概算取得費)。また、実際の取得費が売却価格の5%を下回る場合も、この5%を使うことができます。

これだけ聞くと「5%でも使えるなら安心」と思うかもしれませんが、実際に計算してみるとその影響の大きさがわかります。たとえば実家を3,000万円で売却した場合、概算取得費は150万円です。もし実際の購入価格が1,000万円だったとしても、それを証明する書類がなければ150万円しか取得費として認められず、課税対象となる譲渡所得は850万円ではなく2,850万円近くまで増えてしまう可能性があります(譲渡費用を考慮しない単純計算の場合)。この差は、税額にして数百万円単位にもなりかねません。

うちの実家も古くて、当時の契約書は見当たらなさそうです…。もうあきらめるしかないんでしょうか。

こだせんせい
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あきらめる前に、探せる手がかりがいくつかあります。次の章で確認していきましょう。

取得費を少しでも取り戻すためにできること

契約書そのものが見当たらなくても、次のような資料から購入価格の手がかりが見つかることがあります。

  • 当時の売買契約書・パンフレット・重要事項説明書の写し
  • 購入時に組んだ住宅ローンの契約書(借入額から購入価格の目安がわかる場合があります)
  • 購入した不動産会社や、仲介した不動産会社に記録が残っていないか確認する
  • 古い固定資産税の評価証明書など、役所に残る記録から推計する(税理士への相談が必要です)

これらの資料が見つかれば、実際の取得費として認められ、概算取得費(5%)より税負担を抑えられる可能性があります。早めに税理士や、相続・不動産売却に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。

住宅ローンの書類なら、実家の押し入れに残っているかもしれません。探してみます。

こだせんせい
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良いと思います。あわせて、相続した実家であれば使えるかもしれない別の制度もありますので、次に確認しておきましょう。

相続した実家なら「取得費加算の特例」も確認を

そもそも相続した実家を売却する場合には、「取得費加算の特例」という制度も確認しておきたいポイントです。これは、相続税を支払った方が一定期間内にその相続財産を売却した場合、支払った相続税額のうち一定部分を取得費に加算できる特例です。取得費が増える分、譲渡所得が圧縮され、税負担が軽くなる可能性があります。

ただし、この特例には期限があります。相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)から3年を経過する日までに売却する必要があり、一般的には「相続開始から3年10か月以内」が目安とされています。この期限を過ぎると、特例は一切使えなくなってしまうため注意が必要です。売却のタイミングについては、以前の記事「実家を売るなら"いつ"がいい?相続税で損しないタイミングの話」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。また、空き家を売却する場合の3,000万円の特別控除の期限については「相続した実家、まだ売っていませんか?3,000万円控除が使えなくなる"3年ルール"に注意」でも解説していますので、こちらも参考にしてください。

うちは相続税を払っているので、この特例も使えるか確認してみます。

こだせんせい
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はい。取得費加算の特例と、取得費そのものの確認は別々に見ていく必要がありますので、両方を併せて確認しておくと安心です。

まとめ:取得費がわからないまま売る前に、一度確認を

取得費が証明できないまま実家を売却すると、概算取得費(売却価格の5%)しか認められず、譲渡所得税の負担が想定より大きくなってしまう可能性があります。まずは契約書や住宅ローンの資料を探し、見つからない場合は税理士に相談してみましょう。また、相続した実家であれば「取得費加算の特例」が使えるケースもありますが、期限が決まっているため、売却のタイミングとあわせて早めに確認しておくことが大切です。

※本記事の内容は、国税庁ホームページ「土地建物の取得費が分からないとき」(No.3258)および「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」に関する質疑応答事例(いずれも2026年10月時点の公開情報)を参考にしています。

こだせんは一戸建て専門の不動産査定サイトです。

実家の取得費がはっきりしなくて、売ったときの税金がどのくらいになるか不安なんですが、こんな状態でも査定をお願いできますか?

こだせんせい
こだせんせい

もちろんです。取得費が不明な場合も、まずは無料査定で売却価格の目安をご確認いただき、税金については必要に応じて税理士とも連携してアドバイスいたします。対象エリアは東京23区を中心に東京都・神奈川県が中心ですが、地方のご実家についてもご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。