実家を解体すれば売れる?更地にする前に知っておきたい固定資産税と再建築の壁

更地にする前に知っておきたいこと建築・法規制の問題

「実家が空き家のままなら、いったん解体して更地にしてしまえば早く売れるはず」――そう考えて、解体を検討している方は少なくありません。たしかに古い建物がなくなれば、見た目はすっきりします。しかし実際には、解体したことで固定資産税(土地や建物にかかる税金)が増えたり、更地になってもなかなか買い手が見つからなかったりするケースがあります。この記事では、実家を解体する前に知っておきたい税金の仕組みと、更地でも売れにくくなる土地の条件について、分かりやすく解説します。

うちの実家、もう5年くらい空き家なんですが…思い切って解体して更地にした方が、早く売れますよね?

こだせんせい
こだせんせい

実はそれ、よくある誤解なんです。解体したことでむしろ税金が増えたり、更地になっても売れにくいままだったりするケースが少なくありません。今日はその理由と、解体前に確認しておきたいポイントを一緒に見ていきましょう。

そもそも”更地”にすると固定資産税が上がるのはなぜ?

人が住む家が建っている土地には、「住宅用地の特例」という固定資産税の軽減措置が適用されています。具体的には、200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は固定資産税の課税標準が本来の6分の1に、200㎡を超える部分(一般住宅用地)は3分の1に軽減される仕組みです。この特例は、あくまで「人が住める建物がある土地」であることが前提になっています。

そのため、家を解体して更地にすると、この特例の対象から外れてしまい、翌年度以降の固定資産税が大きく跳ね上がることがあります。小規模住宅用地であれば、計算上は最大で6倍程度まで増える可能性があるということです。「更地にすれば税金が下がる」というのはむしろ逆で、建物があるからこそ税金が抑えられていた、というのが実際の仕組みです。

さらに注意したいのが、2023年12月に施行された改正空家法(空き家対策特別措置法)により、空き家を解体する前の段階でも増税が起こり得るようになった点です。自治体から適切な管理を怠っていると判断され、「管理不全空き家」(そのまま放置すると倒壊や衛生上の問題につながりかねない空き家として、自治体が指導・勧告の対象とする空き家)に指定されて勧告を受けると、建物が残っていても住宅用地の特例が解除されることがあります。実際に、約20年空き家を放置していたケースで、固定資産税が10万円から60万円程度に増額されたという相談例も報道されています。

固定資産税は毎年1月1日時点の状況で判定されます。つまり、年内に解体するかどうかで、来年度の税額が変わってくる可能性があるということです。「とりあえず放置」も「勢いで解体」も、どちらもタイミングを誤ると損をしかねないため、まずは今の実家がどういう状態にあるのかを把握することが大切です。

え…壊した方が税金も下がると思っていたので、逆に上がることもあるなんて知りませんでした。

こだせんせい
こだせんせい

そうなんです。思い込みで判断すると、後から「こんなはずじゃなかった」となりかねません。実はもう一つ、更地にしても売れないままになる理由があるので、続けてご説明しますね。

解体するかどうかを決める前に、今の実家が現状のままでどのくらいの価格で売れそうかを知っておくだけでも、判断の助けになります。価格帯だけでも確認してみるのも一つの方法です。

解体しても売れないもう一つの理由-“再建築不可”の土地

建物を解体しても買い手が見つからない場合、多くは土地そのものに原因があります。代表的なのが「再建築不可」(今建っている建物を取り壊すと、法律上新しい建物を建てられない土地)という条件です。これは建築基準法上の「接道義務」(建物を建てる土地は、原則として幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないという決まり)を満たしていない場合に生じます。

ここで注意したいのは、再建築不可かどうかは、家が建っていても更地になっても変わらないという点です。むしろ、家が建っている間は「住める状態の家」として一定の需要がありますが、解体して更地になると「建物を建てられない空き地」という扱いになり、使い道がさらに限られてしまいます。以前の記事「実家の相続税、「物納」で納められる?再建築不可・境界不明の家は却下されやすいって本当?」でも触れているとおり、再建築不可の土地は買い手が現金での購入を前提とした投資家や隣地所有者などに限られやすく、売却の難易度が上がる傾向があります。

うちの実家、前の道がすごく狭いんですが…それも関係したりしますか?

こだせんせい
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可能性はあります。前面の道路の幅や、道路に接している長さによっては、建て替えができない土地に該当することもあります。解体する前に、一度その点を確認しておくと安心です。

解体費用と増税が重なると、想定以上の負担になることも

木造住宅の解体費用は、1坪あたり2万5,000円~4万円前後が目安とされ、30坪程度の木造2階建てであれば、廃棄物の処理まで含めて120万円~180万円前後かかるのが一般的です。これに加えて、前述のとおり解体後は固定資産税の軽減がなくなるため、解体費用と増税分が重なって、想定より大きな負担になってしまうケースもあります。

一方で、老朽化した空き家の解体については、自治体によっては補助金制度を設けている場合があります。以前の記事「実家の空き家、解体すれば補助金が使える?申請前に知っておきたい注意点とは」でも紹介していますので、解体を検討する際はあわせてご確認ください。また、実際に解体した後は、法務局への「建物滅失登記」(建物がなくなったことを登記簿に反映させる手続き)を1か月以内に行う必要があり、これを忘れると10万円以下の過料が科される可能性があります。手続きの具体的な流れは、以前の記事「実家を解体したら手続きは終わり?「建物滅失登記」を忘れると過料10万円のおそれも」でまとめていますので、こちらもご参照ください。

解体だけでもかなりお金がかかりそうなのに、税金まで増えるかもしれないとなると、本当に解体して大丈夫なのか迷ってしまいます…。

こだせんせい
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そのお気持ち、とてもよく分かります。だからこそ、解体はいったん保留にして、まずは今の建物が残っている状態でどのくらいの価格がつくのかを確認してから、解体するかどうかを判断するのがおすすめです。

まとめ:解体は”売れやすくなる魔法”ではありません

「とにかく解体して更地にすれば売れる」というのは、必ずしも正しいとは言えません。解体によって固定資産税の軽減がなくなり負担が増えることがあるうえ、再建築不可などの理由で、更地になっても買い手が見つかりにくい土地も存在します。大切なのは、解体という”後戻りできない選択”をする前に、今の実家がどのような状態で、どのくらいの価格で売れる可能性があるのかを把握しておくことです。現状のままでの売却という選択肢も含めて検討することで、無駄な解体費用や想定外の増税を避けられる場合があります。

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こだせんせい
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