共有名義の実家、兄弟の同意が得られない…自分の持分だけを売ることはできる?

共有名義の実家、持分だけ売ることが出来る?権利関係・境界トラブル

共有名義の実家、兄弟の同意が得られず売却できずにいませんか?

親から相続した実家が、自分一人の名義ではなく、兄弟姉妹との共有名義(きょうゆうめいぎ:一つの不動産を複数の人が共同で所有している状態のこと)になっているケースは少なくありません。「売却しよう」という話になっても、共有者の一人が反対したり、そもそも連絡が取れなかったりして、話が一向に進まない…。そんな状況で「せめて自分の分だけでも、何とかできないだろうか」と考える方も多いのではないでしょうか。今回は、共有名義の実家について、自分の共有持分(きょうゆうもちぶん:共有している不動産のうち、各共有者が持っている所有権の割合)だけを売ることができるのか、そしてその際に知っておくべき注意点を解説します。

兄と共有名義の実家があるのですが、兄が売却に同意してくれません…。私の分だけでも、何とかできないんでしょうか?

こだせんせい
こだせんせい

それは大変ですね。実は、結論から言うと自分の共有持分だけを売ること自体は法律上可能です。ただし、いくつか知っておくべき注意点があります。順番に見ていきましょう。

そもそも「共有名義」「共有持分」とは?

相続では、遺産分割協議がまとまらないまま「とりあえず」法定相続分どおりに登記してしまい、実家が共有名義になるケースがよくあります。例えば兄弟2人で実家を相続した場合、それぞれが「持分2分の1」を持つ形になります。この持分は、実家全体のうちどこか特定の部屋や敷地を指すものではなく、家全体に対する権利の割合そのものです。そのため、共有者全員の合意がなければ、家全体を売ったり、大規模なリフォームをしたりすることは基本的にできません。一方で、法律は各共有者の権利もきちんと守っており、自分が持っている持分については、他の共有者の同意がなくても自分の判断で扱える部分が残されています。

持分って、家のどこかの部屋を持っているという意味じゃないんですね。

こだせんせい
こだせんせい

はい。あくまで「権利の割合」なんです。だからこそ、家全体の処分には全員の合意が必要な一方、自分の権利分については単独で判断できる余地があるんです。

自分の持分だけを売ることは法律上できるのか

民法では、共有者は自分の持分について、他の共有者の同意を得なくても、自由に売却・譲渡できると定められています。実家全体を売るには共有者全員の合意が必要ですが、「自分の持分だけ」であれば、極端に言えば兄が反対していても売却すること自体は可能です。これは、共有者一人ひとりの財産権を保障するための仕組みで、決して裏技のようなものではなく、正式に認められた権利です。ただし、「できる」ことと「実際に売りやすいか」はまったく別の話である点には、注意が必要です。

兄に黙って売っても、法律的には問題にならないんですか?

こだせんせい
こだせんせい

法律上は問題にはなりません。ただし、事前に一言も相談がないまま第三者が共有者になると、その後の関係がこじれやすいのも事実です。次に説明する「注意点」を踏まえたうえで判断することをおすすめします。

持分だけを売る際に知っておきたい注意点

共有持分だけの売却には、いくつか押さえておくべき注意点があります。

まず、買い手が限られる点です。持分だけを買っても、その不動産を自由に使ったり売ったりできるわけではないため、一般の個人や不動産会社は購入に消極的です。実際に買い手となるのは、共有持分を専門に扱う買取業者が中心になります。次に、価格が市場価格より大きく下がりやすい点です。共有持分の売却相場は、複数の専門サイトの解説によれば、家全体を売った場合の評価額に自分の持分割合を掛けた金額と比べて、市場価格の3〜5割程度まで下がることがあるとされています。買い手にとって使い道が限られるリスクを、価格に反映させているためです。さらに、他の共有者との関係が悪化するリスクも見逃せません。見ず知らずの第三者(買取業者)が新たな共有者になることで、残された共有者が驚いたり、態度を硬化させたりすることもあります。このあたりの背景は、以前の記事「実家を”半分ずつ”相続、それって本当に平等?兄弟で売却が止まる理由」でも詳しく触れていますので、あわせてご覧ください。

思ったより安くなってしまうんですね…。それに、兄との関係も気になります。

こだせんせい
こだせんせい

そうなんです。ですから「持分だけを黙って売る」のは、あくまで最終手段と考えて、まずは他の選択肢も含めて検討することをおすすめします。

持分売却以外に、どんな選択肢があるのか

共有名義の解消には、持分だけを第三者に売る以外にも、いくつかの方法があります。一つは代償分割(だいしょうぶんかつ:共有者の一人が実家を単独で取得する代わりに、他の共有者へ持分に応じたお金(代償金)を支払う方法)です。例えば兄が実家に住み続けたい場合、兄が自分の持分を買い取る形で単独名義にし、代わりに代償金を支払う、という形が考えられます。もう一つは、共有者全員で話し合い、実家全体を売却してその代金を持分割合に応じて分ける方法です。全体を売った方が市場価格に近い金額で売れるため、結果的に手取り額が大きくなるケースも少なくありません。どうしても話し合いがまとまらない場合の最終手段としては、裁判所に共有物分割請求(きょうゆうぶつぶんかつせいきゅう:共有関係の解消を裁判所に求める手続き)を申し立てるという方法もあります。裁判所が分割方法を決めてくれる分、話し合いで解決するよりも時間や費用がかかりやすい点には注意が必要です。実家をいつ・どのタイミングで売るべきかについては、以前の記事「実家を売るなら”いつ”がいい?相続税で損しないタイミングの話」でも取り上げていますので、あわせて参考にしてください。

いきなり持分を売るより、まずは兄と話し合ってみたほうがよさそうですね。

こだせんせい
こだせんせい

その通りです。ただ、話し合いを進めるにも「実家に今どれくらいの価値があるのか」がわからないと、代償金の金額も、全体を売った場合の手取りも計算できません。まずは実家全体の価格を知ることが、話し合いの土台になります。

まとめ

共有名義の実家について、自分の共有持分だけを売ることは法律上可能ですが、買い手が限られ、価格も市場価格より大きく下がりやすく、他の共有者との関係が悪化するリスクもあるため、あくまで最終手段と考えるのが賢明です。まずは代償分割や、実家全体の売却など、他の共有者との話し合いによる解決を目指し、それでもまとまらない場合の選択肢として、共有物分割請求や持分売却を検討するという順序がおすすめです。そして、どの選択肢を選ぶにしても、まずは実家に今どれくらいの価値があるのかを把握することが、話し合いを前に進める第一歩になります。

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こだせんせい
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