相続した実家が浸水したら売れない?水害の告知義務と売却の基本

浸水したら売れない?水害の告知義務とは?売却の基礎知識・制度

相続した実家、浸水の跡が気になったまま売ろうとしていませんか?

台風や大雨のたびに、実家の床下や床上まで水が入ったことがある…という方は少なくありません。2026年は8月に千葉県で記録的な豪雨があり、13人が亡くなり浸水した建物は4,139棟にのぼったと報じられました。9月に入ってからも台風や前線による大雨が相次ぎ、消防庁のまとめでは、この大雨により17都県で2,700棟を超える住宅被害が出たとされています。相続した実家にこうした浸水の経験がある場合、「このまま売ってしまって大丈夫なのだろうか」「黙っていたら後で問題になるのでは」と不安になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、浸水歴のある実家を売却する際に知っておきたい告知義務の考え方と、売却を進めるうえでのポイントを解説します。

実は、実家が数年前に床下浸水したことがあるんです…。今はもう乾いて見た目も普通なんですが、それでも黙って売ってはいけないんでしょうか?

こだせんせい
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見た目が元に戻っていても、それは大切な情報なんです。まずは「告知事項」の考え方から、順番に見ていきましょう。

浸水歴があるからといって、実家の売却自体ができなくなるわけではありません。気になる方は、まず価格帯だけでも確認してみるのも一つの方法です。

そもそも「浸水歴」は告知事項になるのか?

不動産の売却では、買主が「知っていたら契約しなかったかもしれない」と考えるような事実を事前に伝える告知事項(こくちじこう:買主に前もって伝えるべき、物件の欠点やマイナスの情報のこと)という考え方があります。過去に浸水した事実は、建物や設備の劣化につながる可能性がある情報として、この告知事項にあたると考えられています。また、2020年8月の宅地建物取引業法の改正により、不動産会社が売買の重要事項説明を行う際には、水害ハザードマップ上での対象物件の位置を買主に示すことが義務化されました。ハザードマップ上の危険性の説明とは別に、実際にその実家が浸水した経験があるという事実は、買主にとってさらに重要な判断材料になります。

ハザードマップの説明だけじゃなく、実際に浸水した事実も、ちゃんと伝えないといけないんですね。

こだせんせい
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その通りです。特に自分の実家が実際に被害を受けた事実は、買主にとって大きな判断材料になりますからね。

黙って売ったらどうなる?契約不適合責任のリスク

浸水した事実を伝えないまま売却し、引き渡し後に買主がその事実を知った場合、契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん:引き渡した不動産が契約の内容に適合していなかった場合に、売主が負う責任)を問われるおそれがあります。最悪の場合、契約の解除や損害賠償、修補費用の請求を求められることもあります。心理的な負担を減らしたい気持ちは自然なことですが、正直に事情を伝えたうえで売却を進める方が、結果的にトラブルを避け、安心して次に進める近道になります。実家の相続や告知事項全般については、以前の記事「実家で孤独死が発生したら?事故物件の告知義務と「売買には時効がない」という落とし穴」でも解説していますので、あわせてご覧ください。また、雨漏りやシロアリ被害など目に見えにくい建物の欠陥についても、「相続した実家にシロアリ・雨漏りの跡が…黙って売ると後悔する理由とは?」で触れていますので、こちらも参考にしてみてください。

もし何も言わずに売ってしまったら、後からそんなに大きな問題になってしまうんですね…。

こだせんせい
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そうなんです。だからこそ、まずは事実を整理して、正直に伝える準備をしておくことが大切になります。

浸水後の実家、査定額への影響と残しておきたい記録

浸水歴があることで、査定額や買主の印象に影響が出る場合はありますが、それによって売却自体ができなくなるわけではありません。重要なのは、被害の程度や修繕の内容を、あいまいにせずきちんと説明できる状態にしておくことです。

罹災証明書・修繕記録は捨てずに保管を

被害の程度によっては、市区町村から罹災証明書(りさいしょうめいしょ:地震や水害などにより住宅が受けた被害の程度を、市区町村が証明する書類)の交付を受けられる場合があります。罹災証明書や、修繕・清掃を行った際の見積書・領収書などの記録は、買主への説明や不動産会社への相談の際にそのまま役立つ資料になります。「もう何年も前のことだから」と処分してしまっていても心配はいりません。まずは今の実家の状態を、専門家と一緒に確認するところから始めれば大丈夫です。

罹災証明書、もう必要ないと思って処分してしまったかもしれません…。それでも大丈夫でしょうか?

こだせんせい
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大丈夫ですよ。書類が残っていなくても、まずは無料査定で今の実家の状態を一緒に確認するところから始めましょう。

まとめ:浸水があっても実家は売却できる、大切なのは正直な告知

相続した実家に浸水の経験があっても、それを理由に売却をあきらめる必要はありません。大切なのは、浸水の事実を隠さずに伝え、罹災証明書や修繕記録などを整理しておくことです。正直に事情を伝えたうえで売却を進めることが、契約不適合責任などのトラブルを避け、買主にも安心してもらえる近道になります。まずは今の実家の状態を、専門家と一緒に確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

※本記事の内容は、NHKニュース「千葉豪雨 13人死亡 浸水被害4139棟」(2026年8月24日配信)、時事通信配信記事「17都県で住宅被害2700棟超」(2026年9月11日配信)、国土交通省の報道発表「水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明義務化」(2020年8月28日施行)を参考にしています。

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