実家前の私道、共有者が相続のたびに増えていませんか?工事の承諾が取れなくなる”私道共有”のリスク

私道、共有者が増えていませんか?権利関係・境界トラブル

実家の前の道路を見て、「これって公道じゃなくて私道だったような…」と気になったことはありませんか。私道とは、国や自治体ではなく個人が所有している道路のことで、近隣の数軒の土地所有者が共同で持っている(共有している)ケースが多くあります。そして、持ち主の一人が亡くなって相続が起こるたびに、この”共有者”の数は少しずつ増えていきます。何十年も名義変更をしていない私道では、共有者が気づかないうちに十人、二十人に膨らんでいることも珍しくありません。この記事では、私道の共有者が増えていく仕組みと、それが実家の売却や工事にどう影響するのかを解説します。

うちの前の道、私道だったなんて知りませんでした…共有者が誰なのかも分からないんですが、それって普通なんですか?

こだせんせい
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実はよくあることです。私道の共有は何十年も登記を見直さないことが多く、共有者が誰なのか所有者自身も把握できていないケースは少なくありません。まずは登記簿を確認してみることをおすすめします。

共有者が増えるほど今後の手続きが複雑になりやすいため、気になる方はまず価格帯だけでも確認してみるのも一つの方法です。

私道の共有者は、相続のたびに”気づかないうち”に増えていく

私道の多くは、道路に面した土地の所有者数名が、道路部分の土地を共有名義で持ち合う形になっています。共有者の一人が亡くなると、その持分はさらに相続人全員に分割されて引き継がれます。例えば共有者4人のうち1人が亡くなり、子ども3人が持分を引き継げば、共有者は3人増えて合計6人になります。これが何代も繰り返されると、顔も知らない遠方の親族まで共有者に名を連ねている、という状態になりかねません。登記簿の名義を見直さないまま年月が経つほど、共有者の人数と居所の把握は難しくなっていきます。

そんなふうに増えていくなんて…うちの前の私道も、知らない間にすごい人数になっているかもしれません。

こだせんせい
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可能性はあります。まずは法務局で登記簿(登記事項証明書)を取得すれば、現在の共有者と持分がわかりますので、確認してみましょう。

共有者が増えすぎると、工事の承諾が取れなくなることがある

私道の共有者が増えると、特に困るのが”工事の同意”です。民法上、共有物に変更を加える行為には共有者全員の同意が、管理に関する事項には共有者の持分の過半数の同意が必要とされています。私道の舗装のやり直しや、水道・ガス管を新たに埋設する掘削工事、建築基準法上の”位置指定道路”(建築基準法42条1項5号。あらかじめ特定行政庁から指定を受けた私道で、これに接していないと原則建物が建てられない)としての指定・変更などは、内容によって全員の同意が求められる場合があります。共有者が数人であれば連絡も取りやすいですが、十数人、数十人に増えてしまうと、全員の同意を集めるだけで何年もかかることもあります。連絡先が分からない共有者が一人でもいると、工事そのものが止まってしまうこともあるため注意が必要です。私道に関する基本的なトラブルについては「実家の前面道路が「私道」だったら売却できる?通行・掘削の承諾トラブルに要注意」でも解説していますので、あわせてご確認ください。給排水管の設置に関する権利については「実家の給排水管、隣の土地を通っていませんか?2023年民法改正の新しい”ライフライン設置権”とは」もご参照ください。

共有者の中に、どこにいるのか分からない人がいたら、もう工事はあきらめるしかないんでしょうか…

こだせんせい
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あきらめる必要はありません。実は2023年の民法改正で、共有者の一部が不明・不在でも対応しやすくなる新しい制度ができています。次でご説明しますね。

2023年の民法改正で、不明な共有者がいても対応しやすくなった

2021年に成立し2023年4月1日に施行された民法改正では、共有に関するルールが大きく見直されました。共有者の一部が誰なのか分からない、または連絡が取れない場合でも、裁判所の手続きを経ることで、残りの共有者だけで管理や変更の決定を進められる制度が新設されています。これにより、私道の共有者の中に行方不明の人がいても、以前より工事や売却に関する手続きを進めやすくなりました。ただし、裁判所の手続きには一定の時間と費用がかかるため、共有者が増えすぎる前、あるいは行方不明になる前に対応しておく方が負担は少なくなります。共有者と連絡が取れない場合の制度については「実家の共有者と連絡が取れない…それでも売却できる?2023年民法改正の新制度」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。具体的な適用条文(民法251条・252条の各改正箇所)の細部、および私道の個々の工事が法律上の”変更”と”管理”のどちらに区分されるかは工事内容によって判断が異なるため、実際の手続きにあたっては司法書士や弁護士など専門家にご確認ください。

実家の売却前に、私道について確認しておきたい3つのこと

①登記簿で共有者と持分を確認する

法務局で登記事項証明書を取得すれば、私道部分の共有者が現在何人いるのか、各自の持分はどれくらいかがわかります。古い私道の場合、登記簿上の共有者がすでに亡くなっていて、その相続人への名義変更(相続登記)が済んでいないことも多いため、名簿と現実の人数が食い違っていないかも確認しましょう。

②接道状況が売却・建て替えにどう影響するかを把握する

私道の共有関係が複雑だと、買主側の金融機関が住宅ローンの審査で慎重になったり、将来の建て替え時に必要な手続きが増えたりすることがあります。接道義務(建築基準法上、建物を建てる土地は原則として幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないという決まり)を満たしているかどうかも、あわせて確認しておくと安心です。

③共有者の整理は早いほど負担が小さい

共有者が増えるほど、相続登記や連絡先の調査にかかる時間・費用も増えていきます。すでに共有者が多い、あるいは連絡が取れない人がいるとわかった場合は、放置するほど状況が悪化しやすいため、早めに司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ:私道の共有関係は、動くなら今のうちに確認を

私道の共有者は、相続が起こるたびに静かに増えていきます。共有者が少ないうちは大きな問題になりにくい一方、増えすぎると工事の同意集めや売却の手続きが一気に難しくなることがあります。まずは登記簿を取得して、私道部分の共有者が何人いるのか、誰が持分を持っているのかを確認してみましょう。共有者の整理や行方不明者への対応は専門家の力を借りた方がスムーズに進むことも多いため、気になる方は早めに相談することをおすすめします。

※本記事の内容は、法務省が公表する民法(共有関連)改正の解説資料および不動産専門家による解説記事(2023年4月1日施行分、2026年11月時点の公開情報)を参考にしています。

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