実家が「既存不適格建築物」だったら?再建築不可との違いと売却時の注意点

既存不適額建築物だったら?売却時の注意点一戸建て査定のポイント

実家の建物、いつ建てられたかご存知ですか?

相続したり、長年住んでいたりする実家の一戸建て。いざ売却や建て替えを検討したときに、不動産会社や建築士から「この建物は既存不適格(きぞんふてきかく)ですね」と言われて戸惑う方は少なくありません。「違法建築」と言われたわけでもないのに、なぜ売却や建て替えに影響するのでしょうか。今回は、既存不適格建築物の意味と、再建築不可(さいけんちくふか:今の建物を取り壊すと、同じ場所に新しい建物を建てられない状態のこと)との違い、売却時の注意点を解説します。

実家の売却を検討していたら、不動産会社さんに「これは既存不適格の建物ですね」と言われました。違法建築ということでしょうか?

こだせんせい
こだせんせい

いいえ、違法建築とは違います。建てられた当時は合法だった建物が、その後の法律改正によって”今の基準には合わなくなった”状態のことを既存不適格と呼びます。詳しく見ていきましょう。

そもそも「既存不適格建築物」とは?

既存不適格建築物とは、建築時点では建築基準法などの法令に適合していたものの、その後の法改正によって現在の基準には合わなくなった建物のことです。建築基準法第3条2項に規定されており、既に建っている建物をすぐに取り壊したり是正させたりする必要はなく、そのまま使い続けることが認められています。一方で、後述するように増築・改築・大規模な修繕を行う際には、原則として現行の基準に適合させる必要がある点には注意が必要です。

なお、既存不適格と混同されやすい言葉に「違反建築物」があります。違反建築物は、建てられた時点ですでに法令に違反している建物のことで、既存不適格とはまったく別の状態です。実家の建物がどちらに当てはまるのかは、建築確認済証や検査済証、自治体が保管する建築計画概要書などから確認できる場合があります。

うちの実家は築40年以上なので、なんとなく当てはまりそうな気がします……。

こだせんせい
こだせんせい

築年数が古い建物ほど、その間に建築基準法が何度も改正されているため、既存不適格に該当する可能性は上がります。建物の築年数と売却の関係については、以前の記事「築年数の経っている一戸建ては売却が難しい?」でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。次は、具体的にどんなケースで既存不適格になるのかを見てみましょう。

既存不適格になる主な3つの原因

①接道義務を満たしていない

建築基準法42条では、建物を建てる敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していることが義務付けられています。これを接道義務(せつどうぎむ:道路との接し方に関するルール)と呼びます。実家が建てられた当時はこの基準がなかったなどの理由で、現在の接道義務を満たしていないケースは少なくありません。

②建ぺい率・容積率をオーバーしている

建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)は地域ごとに上限が定められています。過去の増築や、周辺の区画整理で敷地面積が変わった実家では、現在の上限を超えてしまっていることがあります。

③用途地域や防火規制が変わった

実家が建てられた後に、その地域の用途地域(住宅・商業・工業など土地の使い方の区分)が変わったり、防火地域・準防火地域に指定されたりしたことで、既存不適格になるケースもあります。

うちの実家、そういえば前面の道路がすごく狭いんです……もしかして。

こだせんせい
こだせんせい

その可能性はありますね。接道義務を満たしていない土地は、次にお話しする「再建築不可」とも関わりが深いポイントです。

「再建築不可」とどう違うの?

既存不適格とよく似た言葉に、再建築不可があります。これは、今建っている建物を取り壊してしまうと、同じ場所に新しく建物を建てられない土地・建物のことを指し、多くの場合、①でお話しした接道義務を満たしていないことが原因です。

既存不適格の建物は「今の建物を使い続けること」自体は認められており、リフォームや一定範囲の増改築も可能です。一方、再建築不可は「建て替え(新築)」ができない点に主眼があります。既存不適格の建物の中には、同時に再建築不可でもあるケースが多く含まれます。

再建築不可物件を建築可能にする方法については、以前の記事「再建築不可の物件を建築可能にするには?」で詳しく解説していますので、気になる方はあわせてご覧ください。また、再建築ができない一戸建てを売却できるかどうかについては「再建築が出来ない一戸建ては売却できますか?」でも取り上げています。

じゃあ、既存不適格でも建て替えさえしなければ、ずっとこのまま住めるんですね?

こだせんせい
こだせんせい

住み続けること自体は問題ありません。ただし、いざ売却するとなると、買い手側の”住宅ローン”に影響が出てくることがあるんです。

既存不適格のまま売却できる?住宅ローンへの影響

既存不適格建築物であっても、売却すること自体は可能です。ただし、買主が住宅ローンを利用する場合には注意が必要です。

金融機関は住宅ローンの審査にあたって、担保となる建物の適法性を重視します。建ぺい率・容積率のオーバー幅が大きい場合や、接道義務を満たしていない(再建築不可の)場合には、希望する金融機関で住宅ローンの審査が通りにくくなったり、融資額が希望より少なくなったりすることがあります。基準は金融機関ごとに異なり、オーバー幅が小さければ融資可能とするところもあれば、再建築不可物件向けの専門ローンを扱う金融機関もあります。ただし、「オーバー幅が何%以内なら融資可能」といった具体的な基準は個別審査によるため、実際の可否は査定・仲介先や金融機関に個別確認することをおすすめします。

つまり、既存不適格の実家は買い手が見つかりにくくなったり、希望通りの価格で売れにくくなったりする可能性があるという点を、早めに理解しておくことが大切です。

既存不適格を解消・軽減する方法はある?

既存不適格の状態を完全に解消するのは簡単ではありませんが、状況によっては負担を軽減できる制度もあります。代表的なのが、接道義務を満たしていない土地に対する建築基準法43条2項の認定・許可です。周囲の空地の状況などから安全上支障がないと特定行政庁(都道府県や市区町村などの担当窓口)に認められれば、例外的に再建築が可能になる場合があります。

この制度はかつて「43条ただし書き許可」と呼ばれる許可制度のみでしたが、2018年(平成30年)の建築基準法改正で「認定」の仕組みが新たに加わり、基準に該当すれば個別の許可申請を簡略化できるケースが増えました。ただし、敷地の周辺状況によって受けられるかは異なり、申請には専門的な調査や書類作成が必要です。

43条の認定や許可を受ければ、必ず再建築できるようになるんですか?

こだせんせい
こだせんせい

残念ながら、必ず認められるわけではありません。敷地の周辺状況や自治体の運用基準によって結果は変わるので、まずは自治体の窓口や専門家に相談してみることをおすすめします。

実家の売却を考えるなら、まずは”今の状態”を知ることから

既存不適格かどうかは、建築確認済証・検査済証や登記簿・公図、建築計画概要書などから確認できる場合があります。しかし、売却や住宅ローンへの影響を正確に判断するには、一戸建ての売却査定に慣れた専門家に見てもらうのが確実です。

「うちの実家は既存不適格かもしれない」「以前、再建築不可と言われたことがある」という場合でも、売却の可能性がゼロになるわけではありません。早めに実際の状態を把握し、選択肢を整理しておくことが、後悔のない実家の売却につながります。

まとめ

既存不適格建築物は、建てられた当時は合法だったものの、その後の法改正で現在の基準に合わなくなった建物のことで、違反建築物とは異なります。接道義務や建ぺい率・容積率の超過などが主な原因で、住み続けることはできても、増改築や住宅ローンの審査に影響が出ることがあります。再建築不可との違いを理解した上で、43条2項の認定・許可など是正の可能性も含めて、早めに専門家へ相談することが、実家の売却をスムーズに進める第一歩です。

※本記事の内容は建築基準法(2018年の改正内容を含む)および国土交通省・各特定行政庁が公表している既存不適格建築物・接道義務に関する解説情報を参考にしています。

こだせんは一戸建て専門の不動産査定サイトです。

うちの実家も、道路が狭くて建て替えできないと聞いたことがあります。こんな状態でも査定してもらえますか?

こだせんせい
こだせんせい

はい、既存不適格や再建築不可の可能性がある一戸建てのご相談も承っております。

不動産の査定は無料です。

現在、対象エリアは23区内を中心に東京都・神奈川県ですが、随時拡大を予定していますので、エリア外にご所有の方も一度ご相談ください。地方にあるご実家の査定等実績もあります。

一戸建ての売却査定の他、ご要望に応じて賃料査定も致します。