“いらない実家の土地”、国に渡す前に知っておきたい新ルールとは?

いらない実家の土地。新ルールとは?一戸建て査定のポイント

相続した土地、”国に返す”という選択肢をご存知ですか?

親から相続した山あいの土地、正直まったく使い道がなくて困っているんです。売ろうにも買い手がつきそうにないし……。

こだせんせい
こだせんせい

そういうお悩み、最近本当に増えているんですよ。実は2023年から、一定の条件を満たせば相続した土地を国に引き渡せる制度があるのをご存知ですか?

え、そんな制度があるんですか?

こだせんせい
こだせんせい

はい。「相続土地国庫帰属制度」といって、相続や遺贈で取得した土地の管理が難しい場合に、法務局の承認を受けて国に土地を引き渡せる仕組みです。所有者がわからない土地が全国に増えるのを防ぐ目的で作られました。

この制度は、相続した土地を「手放す」ための正式なルートとして注目されています。ただし、誰でもタダで引き渡せるわけではなく、いくつかの条件と費用が発生する点には注意が必要です。

「タダで手放せる」わけではない――負担金という壁

国が引き取ってくれるなら、ぜひお願いしたいです!費用はかからないんですよね?

こだせんせい
こだせんせい

残念ながら、無料ではないんです。承認された場合、10年分の管理費用相当額として「負担金」を納める必要があります。原則は20万円ですが、市街地にある宅地などは面積に応じて金額が上がることもあります。

たとえば、都市計画区域内にある宅地の場合、面積に応じて負担金が加算され、条件によっては50万円を超えるケースもあります。このほか、審査の際には1筆あたり14,000円の審査手数料もかかります。

また、すべての土地が引き取ってもらえるわけではありません。建物が建ったままの土地、境界がはっきりしない土地、崖など管理に大きな手間がかかる土地などは、却下・不承認の対象になることがあります。「とにかく面倒な土地を押し付けられる」制度ではないという点は押さえておきたいポイントです。

制度の利用は年々増加中

実際、どれくらいの人がこの制度を使っているんですか?

こだせんせい
こだせんせい

法務省が公表している最新の統計によると、2026年5月31日時点での申請件数は5,545件、実際に国への帰属が認められた件数は2,762件にのぼります。制度が始まってからおよそ3年で、着実に利用が広がっていることがわかります。

相続登記の義務化(2024年4月〜)と時期が重なったこともあり、「相続したものの使い道がない土地をどうするか」を考える人が増えている状況がうかがえます。

ここへきて新展開――国が引き取った土地、”9割引き”で売却へ

制度を使う人が増えているのはわかりました。でも、国が引き取った土地って、そのあとどうなっているんですか?

こだせんせい
こだせんせい

実はそこに大きな課題があったんです。国が引き取った土地を一般競争入札で売ろうとしても、買い手がほとんどつかなかったんですよ。

2026年6月17日に開かれた財政制度等審議会(財務大臣の諮問機関)の国有財産分科会で、財務省はこの状況を打開するための新しい方針を示しました。国が引き取った土地のうち買い手がつかないものについて、評価額をまず3割引き下げ、それでも売れなければ3か月ごとに1割ずつ追加で引き下げ、最終的には当初の評価額から最大9割超(93%)まで下げて売却できるようにするという内容です。

9割引きって、かなり思い切っていますね……。

こだせんせい
こだせんせい

そうなんです。あわせて、測量や地下の調査を省いた「現状のままでの売却」や、特定の相手に直接売る「随意契約」といった手法も導入される予定です。地方を中心に増え続ける、いわゆる”負動産”の活用を進めたいという国の狙いがうかがえます。

この動きは、相続した土地を持つ人にとって何を意味するのか

この新方針は、あくまで「国がすでに引き取った土地」を対象にした売却ルールの見直しです。つまり、これから国庫帰属制度を申請しようとしている人の負担金が安くなる、という話ではありません。

ただし、間接的には次のような意味を持ちます。

  • 国自身が「買い手のつかない土地」の処分に苦労している実態が明らかになった
  • 相続した土地の資産価値は、立地や形状によっては市場でほとんど値がつかないケースが珍しくないことが改めて浮き彫りになった
  • 「使い道のない実家の土地」をどうするか、早めに家族で話し合っておく重要性が増している

国でさえ売るのに苦労するなら、私が個人で売ろうとしてもかなり厳しそうですね……。

こだせんせい
こだせんせい

そうですね。だからこそ、相続した土地(や建物付きの実家)については、”国に返す”以外にも、早めに専門家に相談して売却の可能性を探ったり、活用方法を検討したりすることが大切なんです。

まとめ:使い道のない実家の土地は、早めの情報収集がカギ

相続土地国庫帰属制度は、管理が難しい土地を手放すための有効な選択肢のひとつですが、負担金や審査条件があり、「無条件でタダで手放せる」わけではありません。さらに、国が引き取った土地でさえ売却に苦労し、最大9割引きという思い切った新方針が打ち出されるほど、土地の資産価値をめぐる状況は厳しさを増しています。

実家に建物付きの土地がある場合、更地の土地とは事情が異なり、立地によっては十分に売却の可能性があります。「どうせ売れないだろう」と諦める前に、一度専門家に相談し、実際の市場価値を確認してみることをおすすめします。

※本記事の制度概要・統計は法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」および財務省・財政制度等審議会国有財産分科会(2026年6月開催)の公表内容を参考にしています。

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