複雑な権利関係でも安心!
一戸建ての売却をスムーズに進める方法

実家の不動産ですが、権利関係が複雑でこのままでは売却することが困難だと言われています。対処方法はありますか?

不動産の売却において、大きな壁になりやすいのが「権利関係の問題」です。
相続した実家に他の相続人がいたり、登記が古いままだったり、誰かが住んでいたり……。
一見すると面倒に見えるこれらの問題も、正しい手順と専門家の力を借りれば、スムーズに解決できます。
複雑な権利関係をクリアしながら一戸建てを売却するポイントや進め方について解説します。
■ そもそも「権利関係」とは何か

所有権や抵当権といった権利関係についてですが、どういうときに問題になるのでしょうか?

不動産における「権利関係」とは、その物件の所有者が誰で、誰にどんな権利があるかという法的な関係性のことを指します。
売却に際しては、以下のような点を明確にしておく必要があります。
- 所有権者(登記名義人)は誰か
- 所有権が共有になっていないか
- 抵当権や地上権などの担保が残っていないか
- 賃貸契約中の物件ではないか(賃借権あり)
- 仮登記や差押登記が入っていないか
こうした情報が不明確だと、売却活動が止まってしまうこともあります。
まずは、「登記簿謄本(全部事項証明書)」を取り寄せて、現状を把握しましょう。
不動産会社は土地や建物を調査するときに謄本をまず上げますので、不動産会社に聞いてみるのも良いです。

問題になりそうな複雑な権利関係については下記以降で説明します。
■ よくある「複雑な権利関係」の例と対処法
① 相続による共有名義の家
兄弟姉妹など複数人が相続しており、1人では売却できないケース。
▷ 対処法:
- 遺産分割協議書を作成して、誰が所有するか明確にする
- 協議が難航する場合は、家庭裁判所で調停も可能
- 登記名義変更(相続登記)を済ませるのが必須
📌 2024年4月から、相続登記は義務化されました。放置していると過料の対象にもなります。

共有者が複数の場合には全員の合意が必要になる為、売却に時間がかかることがあります。下記にも説明する相続登記をしていない場合には、相続人の相続も発生している場合があり、推定される共有者が10数名になることもあります。その場合は消息や連絡を取ることも大変で難航することが多いです。
また、兄弟姉妹で2,3名という場合でもお互いの意見が合わず売却が出来ないケースも増えています。普段から実家をどうするのかを話し合うこと、また家じまいをして不動産を手放すという事も選択肢として挙げられます。
② 登記名義が故人のまま
親が亡くなって10年以上たっているのに、登記を変更していないケース。
▷ 対処法:
- 相続人を確定し、相続登記を行う
- 被相続人の戸籍をすべて集める必要あり(出生から死亡まで)
- 相続人が多い場合、調整に時間がかかることも
📌 名義変更が完了していなければ、売買契約は成立しません。

登記名義が故人のままの不動産は意外と多いです。相続登記は任意であったため、以前はそのまま放置されていたことも多く、不動産の売却前に慌てて相続登記をすますということも実務上では行われていました。相続登記の義務化がスタートしましたが、長年相続登記がされていない不動産は多いと思います。問題となるのは相続人や被相続人ともに高齢の場合で、相続人がすでに他界されている場合です。お子さんがいなく、兄弟姉妹に相続されるケースでは兄弟姉妹も他界されていることもあり、姪甥に相続されることもあります。いずれにしても現在誰が所有権を持っているのか、全員と連絡が取れるのかが重要になります。
③ 抵当権や担保権が残っている
すでにローンを完済しているのに、抵当権が残ったままの物件や売買価格を超える抵当権を競ってされている物件。
▷ 対処法:
- 登記簿を確認し、金融機関と連絡を取り抹消手続きを行う
- 抵当権抹消登記は司法書士に依頼するのが一般的
- 売却後にローン残債を一括返済するケースも
📌 抵当権抹消と残債完済が必要になります。

抵当権がついている不動産は一般的ですのであまり心配しませんが、売却価格でローンを完済できない場合は注意が必要です。抵当権が抹消できない場合には一般的に不動産の売却は出来ません。残債が多い場合には任意売却や他の方法を検討する必要があります。税金の滞納があり、差押登記がついている物件もあります。その場合も差押を解除しないと売却出来ませんので、税金の滞納分の返済やローンの返済についての工面を考えなければなりません。
ローンの滞納や税金の滞納が続く場合には競売にかけられる恐れもありますので、専門家へ早めの相談も必要です。
④ 住んでいる親族が立ち退きに応じない
名義は自分だが、別の親族が住み続けておりトラブルに発展しているケース。
▷ 対処法:
- まずは話し合いと書面での合意(退去予定日など)
- 難航する場合は調停や弁護士への相談も検討
- 賃貸扱いになっている場合は「オーナーチェンジ物件」として売却も可能
📌 法的な強制退去には相応の手続きが必要。穏便な解決を目指すのがベストです。

長年親族に貸しているケースも売却する際に問題になることがあります。
親族間の場合、明確に賃貸借契約を結んでいない場合も多いです。まずは賃貸借契約なのか使用貸借契約なのかをはっきりさせる必要があります。後者の場合、期間や使用及び収益の目的を定めているかどうかを確認する必要があります。法律上契約の解除が可能な場合には退去後売却の流れで進めるのが良いですが、解除が出来ない場合には(相場での)家賃収入を得てオーナーチェンジでの売却も検討します。いずれにしても借主との話し合いが重要になりますので、弁護士などの専門家へ相談する必要も出てきます。
■ 売却をスムーズに進める3つのコツ

権利関係が複雑だと売却も大変そうですね。
権利関係が複雑なまま売却することも可能でしょうか?

権利関係が複雑なまま売却することも出来ない事では無いですが、
その場合は複雑な権利関係の不動産を専門に扱っている不動産会社に買取を依頼することがほとんどです。ただし、市場ではだれも買わないような不動産として見られますので、相場に比べると安い金額なら買い取れますので、売却金額は大分安くなってしまいます。
そのため、時間がかかっても高く(相場で)売却したい場合には下記3項目を参考にして下さい。
① 早めに現状を把握する
まずは登記簿謄本・固定資産税納税通知書などを確認し、現状を整理しましょう。
権利関係が複雑であるほど、準備に時間がかかります。
「売りたい」と思ったらすぐ動くのがカギです。早め早めで動き出しましょう。
② 専門家に相談する
法律や登記に関することは、素人だけで判断するのは危険です。複雑な権利関係を得意とする不動産会社もありますので、一度相談することをオススメします。
- 司法書士:名義変更や相続登記などを依頼
- 税理士:譲渡所得税や特例の確認
- 弁護士:共有名義人とのトラブルや住人の立ち退き交渉
- 不動産会社:売却可能性や査定額の確認
📌 それぞれの分野でのプロに相談し、連携して進めるのが成功の秘訣です。
③ 売却前の調整をしっかり済ませる
買主は「安心して買える物件」を探しています。
トラブルの火種がある状態では、買い手がつきにくく、価格も下がる傾向にあります。
売却活動を本格化させる前に、可能な限り権利関係を整理しておくことが大切です。

自分だけで調整が出来るに越したことはありませんが、不動産の場合専門的な知識も必要になりますので、早い段階で不動産会社や司法書士など士業の先生に相談するのが良いと思います。手順に沿って進めれば権利関係を整理して売却につなげれますので、結果的に高値での売却につながると思います。
■ 複雑な権利関係でも、解決の道はある

一戸建ての売却において、「名義が自分ではない」「他の相続人がいる」「誰かが住んでいる」など、権利関係が複雑な状態でも、焦らずに対処すれば解決可能です。
ポイントは次の3つ:
- まず登記簿を確認し、現状を把握すること
- 司法書士や弁護士など、専門家に早めに相談すること
- 売却前に問題を整理し、スムーズな状態で売りに出すこと
「面倒だから…」と放置しておくと、いずれ売却がより困難になります。
今のうちに一歩を踏み出して、スムーズで安心できる不動産売却を実現しましょう。
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