擁壁のある一戸建ては売却が難しい？

擁壁のある物件については、難易度が少し高くなってしまいます。擁壁の問題点となり得るポイントとしては、擁壁を造り直すとなった場合の費用面が多大にかかってくる可能性があります。特に土地の相場が低いエリアの場合では、土地の価格よりも擁壁を造り直す費用の方が高くなりがちです。そうなると、土地を検討する人は追加で費用がかからないような土地を探すあるいは擁壁がある土地をそもそも検討しないといった考えに至ってしまいます。
不動産の買取を専門とする業者も、擁壁をやり直す費用面がかかりすぎてしまうので、土地は無料でもいらないといった選択をしてきます。

擁壁のある一戸建ての使い道を考える前に、まずは擁壁について簡単に説明します。
擁壁とは、崖のような地形の土地に対して、斜面が崩れ落ちないようにコンクリートや石などを固めて斜面を支える壁の事を言います。
擁壁は法律（建築基準法や宅地造成等規正法など）で定められた基準や方法を用いて設置しなければなりません。詳しい説明はしませんが、擁壁を調べていくと適法な擁壁と非適法な擁壁に分かれます。後者の場合には擁壁の造り替えの必要性が高いですので、費用面を高く見積もって検討する必要があります。

安全面を判断するうえでも、現地での点検は欠かせません。ひび割れや欠けの有無、排水がしっかりできているかを確認する必要がありますし、経年劣化で風化や強度が落ちている可能性もありますので、専門家に確認をしてもらうのが一番です。
客観的な判断材料としては、高さが2mを超える擁壁には建築確認申請が必要になりますので検査済証の有無を調査することである程度の擁壁の判断がつきます。

擁壁は工作物になりますので、材料によって耐用年数は変わってきます。一戸建てと同様に年数が経てばたつほど劣化をしてしまいますので、古い一戸建ての場合は擁壁も建て替えが必要になる可能性が高いです。
また、擁壁が使用できる状態であったとしても、補修費用が必要な場合やニーズの変化による駐車場の設置（擁壁部分にビルトインの駐車場）が必要な場合にはその分費用もかかってきます。

擁壁の大きさや設置場所、地域によっても金額は変わってきますが、数百万円から1千万円台の費用が相場かと思います。ビルトインガレージを設置する場合には500万円以上/1台かかったこともあります。

擁壁のある一戸建てについて、まず確認するべき点は
・擁壁が現行の基準に適合しているかどうか
・周辺の土地や戸建の相場
になります。
土地の相場が高いエリアで、擁壁の造り直し費用がかかっても大丈夫であれば不動産の売却は可能です。
土地の相場　＜　擁壁の造り直し費用
の場合には、そのままでは売却は難しいものとなってしまいます。

そうですね。
擁壁のあるエリアは、日当たりや眺望の良いエリアに立地していることが多いですので、時間をかけて地域の良さを知っている近隣（地元）の人をターゲットとして売却を促すのも一つの方法になります。その間に賃貸に出すことも選択肢として考えるのも良いと思います。

また、賃貸付けをしてオーナーチェンジ物件（投資用物件）として、売却に出すことも検討出来ます。

例えば、再建築をする場合に擁壁をやり直さないと許可が下りない物件の場合には、擁壁を造り直すと費用面ではマイナスになってしまいます。
擁壁はまだ見た目上問題ないのであれば、一戸建てを賃貸物件用にリフォームをして賃貸物件として貸し出せば、収益物件として蘇ります。
その場合、賃料7万円で借り手がついたとしたら、利回り15％の収益物件（560万円）として販売することや保有することも可能になります。使い道を変えることで不動産が活きてきます。